大きな建物の壁や床を、わずか数センチから数十センチの小片で覆うタイル仕上げ。綿密な施工計画と、ピースを敷き詰めていく熟練の職人技が要求される、大変手間のかかる作業です。にもかかわらず、世界各地で新旧問わず数多くのタイル建築が見受けられるのはなぜでしょう。
原料である粘土が豊富なこと、耐久性に優れていること、お手入れが簡単なことなど、タイルが人気を集めている理由はさまざまですが、最大の魅力はその美しさにあるといえるのではないでしょうか。
陶磁器タイルの歴史は大変古く、紀元前2600年頃のエジプトで、サッカーラのピラミッドの地下内部に用いられた、美しい光沢をもつ施釉タイルが世界最古とされています。ペルシャでは、タイルを宝石に見立てて聖なる寺院の壁を覆い、フランスにおいては、高価な大理石や有色石の代用品としてタイルが生産されました。
アントニオ・ガウディやフランク・ロイド・ライトらが残したタイル建築は、今なお輝きを失わなず多くの人を魅了しています。上質な素材を愛しクラフトマンシップを重んじるヨーロッパを中心に、タイルは今日も世界各地で広く製造され、壁や床を美しく覆っているのです。
フランク・ロイド・ライト
明治村・旧帝国ホテル(愛知県犬山市)
撮影:伊奈栄次
アントニオ・ガウディ
スペイン カーサ・バトリョ
イラン モスク
エジプト サッカーラ施釉タイル
多彩人物文楕円形タイル
クム、
イラン19世紀
多彩菱形動物文タイル
コーナー・モチーフ:
ムーア式
オランダ17世紀
草花文レリーフ・タイル
イギリス19世紀
風景文手描きタイル
イギリス19世紀
長いタイル史のなかで、色彩が多様化し、レリーフ(浮き彫り)がより繊細になり、転写の技術が発達すればするほど、画家や陶芸家、彫刻家、ガラス職人たちが、さらにタイルに挑み、その美しさや魅力を高め合ってきました。
タイルは、その形、サイズ、色、模様、テクスチャーの多様さゆえに、多くの建築家やデザイナー、もちろん生活者たちのイマジネーションを刺激し続けています。
組み合わせや張り方によって思いがけない小宇宙を生み出し、空間の広さや明るさ、リズム感までコントロールする魅惑的な建材、それがタイルです。
タイルは、その形、サイズ、色、模様、テクスチャーの多様さゆえに、多くの建築家やデザイナー、もちろん生活者たちのイマジネーションを刺激し続けています。
組み合わせや張り方によって思いがけない小宇宙を生み出し、空間の広さや明るさ、リズム感までコントロールする魅惑的な建材、それがタイルです。
