STORY

SUITEROOM探訪シリーズ コラム05

田園都市の高台に「風が吹き抜ける家を」という30代夫婦の夢が、この夏ひとつ開花しました。
まわりの自然をたっぷり取り込みつつ自然素材でつくった家、そこには「スイートルーム」がじつにみごとな調和を見せて収まっていました。

気持ちが通じあった設計士との家づくり

東急田園都市線といえば、都市化の波がまだ自然環境とほどよく調和しているエリアですが、この小高い山を切り開いて造成された高台の一画に田野さん(仮名)夫婦は土地を求め家を新築されました。

「家を持つことを考えた時、選択肢はいろいろあったわけですが、それまでテラスハウスを借りて暮らしてきましたし、趣味であるギターの音のことも気になり、マンションという選択肢は外しました。どうせなら自分たちの“世界にひとつだけの家”を建てたいねということになり、探したのがこの土地だったんです」

というのは、グラフィックデザイナーをされている奥様のT子さん。結婚3年目という会社員のご主人とともに、テラスからの視界が開けて自然環境がまだ残っているような場所というコンセプトで土地を探され運よくこの地にめぐりあうことができたそうです。T子さんの言葉どおり、ここはまさに高台にあってまわりは自然がそのまま息づいているような場所。朝起きて自然の風を胸いっぱいに吸い込めば、きのうのストレスなど「どこ吹く風」と思えてしまえるような環境です。

次にどんな家を建てようかと話しあったふたりは、できるだけ開放的で「ひとつながりの空間」をと考えました。


「家族が今どこにいるのか、そんな気配を互いにいつも感じていられるような家にしたかった。つまり全体が開かれた一室のような家ですね。それで最初にお願いした工務店さんにいろいろ図面を出していただいたのですが、なかなか自分たちの思いが伝わらなくて…」(T子さん)

最初の工務店は、既存プランに添った家づくりを基本としており、田野さんの出す自由な希望を負担に感じているようでした。また田野さんも、すべてを既製品のカタログから選ばなければならないような家づくりに疑問を感じ始めていました。どうしようかと思い悩んでいたとき、ふと目にとまったのが当時の自宅近くにあった(株)星野土建の本社ビルだったそうです。

「帰ってホームページを拝見して、ああこの工務店さんならきっと自分たちの夢をかなえてくれるんじゃないかと。根拠はあいまいなんですけど、不思議な縁を感じて、飛び込みでお願いに行きました」(T子さん)

田野さん夫婦は、偶然見つけたこの工務店に出かけ、そこの三代目である一級建築士の星野将史さんと出会い、お互いが同じ波長の持ち主であることを確認しました。そうして、じっくり話しあいプランを出しあって建てたのが、この家だったということです。


わざわざ新築するなら、ぜひ手作りのお風呂を!

家はRCの土台に木造2階を組み合わせた形の構造。田野さん夫婦のコンセプトにしたがって、1階は全体がリビング+ダイニングのパブリック空間。友人を集めて田園都市の町並みを愛でながら食事をしたり趣味のギターを披露しあったりできる大きな一室空間になっています(他に窓から緑の見えるRC打ち放しの半地下もあります)。

そして、1階と吹き抜けを通じてつながっているのが2階のプライベート空間。田野さん夫婦はここに安らぎの場としての寝室と水まわりを持ってきました。

「お風呂を2階にという要望は最初からあって、そこにはぜひ『スイートルーム』をと言われました。私はそれまで『スイートルーム』を使ったことがなかったのですが、田野さんから言われてINAXの銀座ショールームに行ってみて、これは使えるなと。工務店の側からいえば、2階にお風呂をつくるのはじつに大変でコストもかかる。設備工事やメンテナンスを考えるとあまり積極的におすすめできないわけです。ところがこの商品を使えば、ユニットバスのような使いやすさで在来工法感覚のお風呂がつくれる。しかも在来にくらべてコストは安くすむんですから」

というのは、設計を担当した(株)星野土建の星野将史さん。プロの建築士である星野さん自身も「スイートルーム」にすっかり好感を持たれたそうです。では、どうして田野さんは「スイートルーム」に決められたのでしょう?

「じつは姉から、新築するなら今はこんなお風呂の商品もあるよと教えてもらったんです。家づくりを考えはじめたのが04年の春でしたから、ちょうど『スイートルーム』が出たばかりの頃で、さっそくホームページを見て、それまでの狭くて湿っぽいお風呂という概念を一掃するようなデザインにすっかり虜になってしまいました。もちろんユニットバスも頭にありましたが、どうしても『なんでこんなに曲線が多いデザインになるの?』とか、やっぱりどうせ新築するんだから『工業製品ではなく手作り感覚のお風呂が欲しいなあ』と思ってしまって…」(T子さん)

T子さんはプロのデザイナー、デザインには人一倍こだわりがあるはずです。


自然素材の家にぴったりの手作り感覚

その「スイートルーム」は、2階の寝室に隣り合わせの形でありました。

1階とつながる吹き抜け横にあるホール兼ワークスペース。ここに接するドアを開けると、白と黒のタイルの縦線が流れるように美しい異空間が現出します。それは思わず息を呑むような衝撃でもある。この家のもうひとつのコンセプトは、無垢の木と自然素材の壁材を組み合わせてつくるというこだわりにあったそうですが、そこまではずっと木と土の素材感で来たところに、いきなり強烈な個性を持ったタイルの空間が現れるわけですから無理もありません。

「じっさいインパクトがありますよね。自分の建てた家にこんな空間が生まれるなんてちょっとした驚きですが、私は素材やデザインにこだわって家を建てるというのが頭にあるものですから、本当はお風呂もプラスチックではなく在来工法でやりたい。そんな思いを容易に叶えてくれる『スイートルーム』はまさに理想的な商品といえます。それにバスルームとパウダールームが一体化してますので、視覚的にもかなり広い。私はここで使わせていただくのが初めてですけど、今後もお客さんにおすすめしていきたいと思います」(星野さん)


照明とタイルの相乗効果で視覚的な遊びも味わえる

聞けば最初は南面の寝室の位置に「スイートルーム」を持ってくるプランもあったとのこと。どうして寝室と場所が入れ替わってしまったのでしょう?

「ベランダから『スイートルーム』へという流れもいいねと話しあっていたんですけど、向かいに何軒か家が建っていることもあって、やはり外からの視線が気になるのはどうもということになってしまいました。また浴室を南に配置すると、せっかく通風に配慮したプランを考えたのに、湿気が家じゅうに回ってしまう可能性もある。ということで、風が最後に抜ける北東に持ってくることにしました」(T子さん)

もうすこしでベランダと一続きの「スイートルーム」が見られたのにと思うとすこし残念な気もしますが、建物の立地や通風のことを考えるとそれが正解だったのかもしれません。


ところで、じっさい「スイートルーム」を使われた田野さん夫婦の感想はどうだったのでしょうか?

「思わぬ発見があったのは、ここが照明とタイルの相乗効果でとても落ち着いた光の空間になるということ。白黒のタイルがやわらかく光を反射して明と暗の世界を創り出すんですね。今までは身体を洗うという用事のために入浴していた感が強いですが、『スイートルーム』にしてからはここにいること自体が楽しみで、入ってからもせかせかせずゆったりした気持で過ごすことができるようになりました。まるで旅先にいる気分でね」(ご主人)

「お風呂が生活の中のひとつのイベントになりそう」というのは夫婦共通の感想。仕事とプライベートとの切り替えが必要なT子さんは、「入浴することでそれがスムーズにできるようになりました」と言われていました。


REPORTER PROFILE

坂本徹也
住宅建築ジャーナリスト、All About「建築家」ガイドとして、魅力ある住宅建築のレポートを執筆中。著書に『建築家と家をつくる愉しみ』『住宅プロデューサーを上手に使えば こんないい家がつくれる』などがある。

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