「スイートルーム」を直接見てさわって体感することのできる最大のショールームといえば、INAXの銀座ショールーム。
ここではタイプの違う様々な「スイートルーム」を見ることができます。
今回はショールームの正しい活用法と「スイートルーム」の反響について、ショールームアドバイザーの松本さんにお話をお聞きすることにしました。(2005年時点)


INAXの銀座ショールームは、銀座の中央通りの京橋寄りにあります。ここに「スイートルーム」の専用フロア(2階)ができたのは04年5月。現在は新タイプの「スマートスタイル」と「シャワールーム」が新しくラインナップに加わって、7つの違った「スイートルーム」を見ることができます。(注:2005年時点)
どれを見ても夢のある浴室空間であるという点では同じですが、こうやって一度に見てまわるとやはり好みには差があって、私などは個人的に舟形バスタイプの「スマートスタイル」に心惹かれるものがあります。なによりデザインが洗練されていて都会的だし、外からのビジュアルがまた、美しい。まさに「見せる」お風呂という印象です。
スイートルーム担当のアドバイザーとして活躍されている松本直子さんによれば、「スマートスタイル」はデザイン関係の人や、インテリアに興味のある30代の若い夫婦にかなりの反響があるとか。
「スイートルームは、スタイリッシュな生活をめざす方々に向けた商品ですから、やはりデザイン的に洗練されたものは注目度が高いです。あと、タイルの専用フロアが3階にあるんですが、ユニットバスではなくタイルにこだわりたいというお客様にスイートルームをお見せすると、ああこういうのが欲しかったの!と言っていただける確率が高いですね」

ユニットバスの利便性はメンテナンスが楽であるのと機能性。それにくらべて「スイートルーム」はタイルとガラスを使ってつくる手作り感覚の商品ですから、両者は対極的な位置にあると言えなくもありません。使い勝手のよさを取るか、デザインを取るかという選択になると、一歩踏み込んでデザインを優先するにはちょっと勇気というか踏ん切りが必要なようです。
「そんなお客様には、今のタイルは汚れ防止の処理がされていてメンテナンスも楽になっていることや、今はガラスワイパーにもお洒落なものがあって、お掃除も手際よくできるようになっていますよというお話をすることにしています。また、お風呂が素敵な空間になれば、いつもきれいにしておきたいという意欲も湧く。 そんな説得が効いてスイートルームを入れてくださる熟年夫婦の方も増えました」(松本さん)
なるほど、ユニットバスは便利だけれどもゆとりのバスタイムを楽しむよりは生活の効率化を優先するもの。それよりはオフタイムの充実を考えたスローライフをめざしましょうというメッセージが「スイートルーム」には込められているというわけです。しかし「オフタイムの充実」は何も熟年夫婦だけのものじゃない。30代でも40代でも、気持ちの切り替えしだいでいつでも始められるものだと思います。

ショールームでもうひとつ目を引いたのは「シャワールーム」。ヨーロッパのホテルには昔からこうした完全防水のシャワールームがあって、私は20代の頃に訪ねたザルツブルグ郊外のペンションでこれを見て感激し、いまだに「もう一度あのペンションに泊まりたい」と思うほどです。銀座の「シャワールーム」は、さらにその上をゆく快適さと言えるでしょう。タイルが淡いブルーの曲玉形のデザインで空間の満足度が高かったからです。
「お求めやすい価格ということもあって、シャワールームも好評です。セカンドバスとしてゲストルームの近くに付けたり、二世帯住宅に使ったりと汎用性もありますし」(松本さん)
もちろん他の「スイートルーム」にも、屋外テラスに通じる開口部付きのタイプなど、魅惑的な配置例がたくさんあります。ベランダに接続する半露天のお風呂なんて、毎日のバスタイムが待ち遠しくなってしまいそう。設計図を引く前にこの配置例を見ておけば、こうした画期的なプランがもっと出てきそうな気がします。松本さんも「間取りを決める前にショールームにいらしていただけたら、わたしたちがご提案できることも格段に多くなる」と言われていました。


一方、最近は新築ばかりではなく、中古住宅やマンションを買って好きなようにリフォームして住みたいという30代夫婦が増え、そうした人たちが「スイートルーム」に注目するようになってきたとも…。
「一般的に中古住宅のお風呂場は北向きの狭い場所にありますが、トイレと洗面所+浴室が別々になっているケースが多い。ですが、トイレを組み込んだプランだとこれが全部ひとつにまとまりますから、今のスペースで無理なくスイートルームを収めることができます。洗面所が1坪・浴室が0.75坪だから入らないとあきらめる前にご相談いただければと思います」(松本さん)
ちなみに同じ1坪+0.75坪のスペースでも、2つの空間が透明なガラスで視覚的に繋がれば、格段に広い印象になります。この開放感はたまりません。それは今まで日の当たらなかった浴室という空間に光を当て、生活の中心的な位置に持ってくるということにも繋がりそうですね。


「銀座に来られた四国の方が立ち寄られて、パウダールーム0.75坪・バスルーム1坪のプランをご提案したら、うちより狭いはずなのに全然広く見える!と感動され、契約を検討されているという報告を四国の営業からもらったことがあります。あと、外国人専用のマンションに導入したいという沖縄の方が見えられ、これは海外のVIPの方が喜びそうと高い評価をいただいたことも…。ショールームができて約1年、そうしたうれしいお話がたくさん出てくるようになりました」
と、松本さん。彼女によれば、外国で長く生活をされた人や、海外のホテルでオープンな浴室を体験してこられた人はすごく反応がいいとか。そうしたバスタイムに心の満足を求める人たちは、今後増える一方でしょうから「スイートルーム」が受け容れられやすくなる環境はますます整ってくるのではないでしょうか。松本さんたちは「お風呂からひとつ上の生活を始めてみませんか?」と、日々呼びかけられているそうです。
- 坂本徹也
- 住宅建築ジャーナリスト、All About「建築家」ガイドとして、魅力ある住宅建築のレポートを執筆中。著書に『建築家と家をつくる愉しみ』『住宅プロデューサーを上手に使えば こんないい家がつくれる』などがある。
