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『私の選んだ一品』 益田文和 グッドデザイン賞審査委員コメント

明るいお風呂にあこがれて

私など早朝起き抜けにお風呂をいただく習慣がありますので、窓から朝日など差し込んでくるような風呂場にあこがれるのです。夏はお湯の表面に反射した青っぽい光が白いタイルの壁や天井をかけまわり、シャワーの水滴もキラキラと輝くのです。冬は暖かい湯気で満たされた空間が少しずつ明るくなってくると、ゆっくりと目も覚めてくるのです。鳥や虫の声、新緑や紅葉、青空や雪景色、そうした季節の片鱗を目にすることができるなら、たとえわずかな時間でも心身ともに安らぐことができるでしょう。

そんな憧れのお風呂が手に入るようになりました。洗面、トイレ、お風呂と、清潔で美しいタイルで囲まれながら連続する空間は、そのまま外に向けて広々と開かれているのです。

私はこのスイートルームと名付けられたお風呂をショールームで見たなり、動けなくなりました。そこに、折りたたみ式の簡易ベッドでよいから持ち込んで、そのまま住みつきたいと思ったほど、それは完璧な空間だったのです。ああ、しかし、実際には土地を得て、家を建ててはじめて手に入れることができるということに気づくと、現実は厳しく失望は大きいのです。どうかどなたか、他の部屋はとても小さくてかまいませんから、こんなお風呂を備えた賃貸マンションを建ててくださいませんか。そのためにもINAXさん、集合住宅用のスイートルームを開発してください。

考えてもみてください。休みの日など朝から晩までこんな空間に身をおいて、持ち込んだデッキチェアーでコーヒー片手に本を読むのです。気が向けば浴槽に身を沈め、ひげをあたり、トイレにくつろぎ、光を肌に感じ、風の音を聞くのです。至福とはどれほど身近にあるものか、としみじみ思うことでしょう。ああ。

益田文和
インダストリアルデザイナー
(株)オープンハウス/代表取締役
東京造形大学卒業後、国土建設、デザインオフィスバックスを経て1978年よりフリー、その後frogdesignデザインディレクターをつとめて、 1991年より現職、98年にはエコデザイン研究所を併設、サステナビリティをテーマとしたデザイン開発に取り組む。2000年度より東京造形大学教授、同学デザイン学科サステナブルプロジェクト専攻領域を担当。共編著書に『戦略環境経営 エコデザイン』(ダイヤモンド社)など。

出展: 『私の選んだ一品』 鶏の巻(発行:財団法人日本産業デザイン振興会/発売: 丸善株式会社)

グッドデザイン賞

グッドデザイン賞受賞

2004年度  商品デザイン部門 / 住宅設備  受賞番号 : 04A06057
[評価コメント]
従来建築家提案でしか実現できてこなかった開放的なバスルーム空間を、ユニット商品として簡単に取り入られるようになったことは良い。ショールームなどで、間取りとレイアウト、仕上げのテイストを選択していくだけで、専門家の手を借りなくとも簡単に空間全体のプランニングができるようになった。

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